五感を磨く

レッスンでは、まず最初に「こんにちはー!」ってドアを開けて入ってくるときの子ども達の声や表情を見ることから始まります。

 

小さく鬱々とした声ならば、「あら… 今日はあんまり練習できてないのかな?」^^;
嬉しそうに張り切っていれば、「おっ 今日はしっかりやってきたな!」^^

 

疲れた顔をしていれば、「どうしたん?疲れた顔してるね」と声を掛けてみます。「うん、今日は遠足だったから疲れたぁ」とか、「弟とケンカした…(しょんぼり)」とか。そんなときは、あまり引きずらないよう軽く流して、「そっか。まぁ、切り替えよう!さ、ピアノ、ピアノ!」といって気持ちを転換させるようにしています。

 

もう二十数年もやっていると、冒頭でその日のレッスンをどう組み立てるか、見当がつくものなのです。

いつもニコニコしながら入ってくるKちゃん、今日も何やら言いたそうな顔をしながらレッスンルームへ入ってきました。

 

「ん?どしたん?^^」

「先生んちのキンモクセイ、すごくいい匂いがしてるー^^」

(^^)(^^)

 

玄関には、いい匂いのする植物を植えるようにしています。ジンチョウゲにレモンタイム…クチナシも植えていたのですが、こちらは青虫に食べられちゃって弱って枯れてしまいました(泣)

 

人は日頃、五感を使うときに優先順位があります。

 

「触覚」>「聴覚」>「視覚」>「臭覚」>「味覚」

 

最近では「視覚」を使うことが多いそうです。その分、ほかの感覚が鈍感になっているそうです。テレビ、パソコン、ゲーム、スマホ…確かに、画面とにらめっこばかりしていますよね。大人に限らず、最近は子ども達もスマホを持つ子が増えているようです。気をつけたいものです。

 

ピアノを弾いているときは、もちろん「聴覚」と「視覚」が優位になっています。でもここで、曲想をつけて想像力豊かな演奏をするならば、日頃から五感をしっかり磨いて、たくさんのイメージの引き出しをつくっておくと、凄く強味になります。

 

玄関を通るたびに、植物の香りや土の匂いがみんなの記憶のどこかに残っているといいな…そんな想いで、作庭したいただいたときに樹種の指定をしました。ぜひキンモクセイの匂い、嗅いでみてくださいね。