『新米母は各駅停車で、だんだん本物の母になっていく。』

パソコンにブックマークしているサイトの一つに、「北欧、暮らしの道具店」というショップがあります。お買い物サイトというだけでなく、扱っている商品にまつわるお話や、主婦目線のエッセイなどが盛り込まれ、楽しみにしているんです。

 

先日、あるエッセイの表題に目が留まりました。

『新米母は各駅停車で、だんだん本物の母になっていく。』

http://hokuohkurashi.com/note/86267

 

そこにはこんなことが書かれてありました。

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そんなふうにして、私は苦しまぎれにどうにかこうにか自分流の方法を編み出しながら、少しずつ“お母さん”というものになっていった。正しいお母さんの形なんてないのだから、たとえば家事も、自分を責めずに、笑って暮らせる方法を考えればいい。

 

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「ああ、このママは、あの頃の私だ…! 」そう思いました。

私は仕事上、

 

「毎日少しでもいいから、練習の習慣をつけましょう」

「子どもをもっとよく見てあげて」←放置傾向のママに

「子どもを干渉し過ぎないように」←干渉傾向のママに

「環境を整えてみてください」

 

・・・そんなことを、ことあるごとにお伝えします。

でも、そんなことがちゃんと出来れば苦労しない!…そんな叫びも、本当は痛いほど知っています。

私自身、立派なことが言えるだけの子育てをしたのかといえば、葛藤の連続でした。今でも「これでよかったのだろうか」と悩むことがあります。^^;

 

毎日誰に言われなくてもコツコツ練習する子なんて、本当はほとんどいないでしょう。

習い始めの頃、新しいテキストをもらったばかりの時、発表会が近づいた時、伴奏者に選ばれた時… 張り切って練習してくれるのはそんな時くらい…? どんなに楽しいことでも、何度も続けていれば飽きたり、ほかのことに気持ちが移ったりするものです。

 

だからこそ、親や教師はどのようにして習い事を続けさせるか、意識して工夫をすることが必要なのだと思います。そのためには、何のために習い事をするのか/させるのか、子どもも大人も目的をちゃんと見据えることが大切。そうでないと「私、なんのためにコレをしているのだろう?」と悩んだ時につらくなります。

 

 

我が家の場合は、息子が学校から帰宅する時間帯にはすでに私はレッスンをしていましたので、彼はその間に学校の宿題を済ませて、お友達と遊んだり、ほかの習い事へ出かけたりしていました。習い事の送迎は母がしてくれました。また夕飯は、やはり母が家に通ってきてくれ、日中に私が用意しておいた食事を温め配膳し、息子が一人ぼっちで食べることのないよう相手をしてくれていました。

 

ピアノの先生って好きなことを仕事に出来て優雅だよねー…なんて言われがちなのですが、家族が帰宅している夕方~夜が不在なので、家族の理解と協力がないと成り立たない仕事なのです。中には「夜くらい家のことをしろ」と言われて廃業する先生もいらっしゃるくらいで・・・私はラッキーなんですね。

 

さて、レッスンが終わると、「ピアノのお勉強(※)終わったよ~」と彼を呼び、今度は息子の練習時間。(息子は私の師匠に託していました。親子だと甘えが出るので、ほかの先生にお願いしました。)

 

(※)私は、息子が赤ちゃんの時から「お母さんは、お友達とピアノのお勉強をしてるの。

お母さんもレッスンすることで自分の勉強になってるんだよ」と言って育てました。

それは本当のことですし、「お母さんはよその子とばかりピアノをして楽しそう」と

思わせたら、寂しい想いをさせることになるよと、先輩教師に聞いていたからです。

 

レッスン室で学校のことなど色々とおしゃべりした後、課題になっている曲をどんなふうに弾きたいのか、息子に尋ねます。説明することで、どんなことに気をつけて練習すべきかが自覚できます。息子の話しぶりで何となく先生の方針をキャッチしたら、部屋を出て一人で練習させる。

 

・・・これを毎日、幼稚園から続けさせました。高学年になる頃には、「(レッスン)終わったよ~」といえば、「はいよ~」と言って、条件反射のようにレッスン室へ入って練習するようになっていました。やっと習慣づけの完了です。これが高校2年まで続きました。大学生となった息子は、今もサークルで吹奏楽やJazzのバンドに所属し音楽を楽しんでいます。すぐに楽譜が読めるので、ほかの楽器を覚えるのも早いようです。

 

私は私で、夕方のレッスン時間から逆算して、日中に家事や仕事に関するデスクワーク、PTAや学校行事、自身の練習をする必要がありましたので、いつも30分刻みの「時間割」を作って動いていました。「時間割」を作ると、意外と趣味や読書、ランチをする小一時間くらいは捻出できるものなんですね。ToDoをこなした上に自分の時間も確保できた日には、「よし、今日の私、合格♪」とガッツポーズをしたものです。そんな日々の小さな達成感の積み重ねが、いつのまにか「継続できた」ってことになるのでしょう。

 

理想を追い求めすぎるとしんどいですが、かといってやる前から諦めたくはないもの。理想に近づけるよう各駅停車しながら試行錯誤する・・・そのこと自体に価値があり、そうやってがんばるお母さんの姿を見て、きっと子ども達も成長してくれる――― 私たち母親はそう信じて、がんばってみませんか。