弾き直しをするときの, 目からウロコ

あるところで執筆依頼された内容なのですが、想定以上に「うわ~ 気づかなかった!」「目からウロコです!」と言われましたので、こちらでもご紹介したいと思います。

子ども達の練習風景でよく見られる現象と、改善例について―――

まず、下の図をご覧ください。
「シ」から「ソ」を弾こうとして、誤って1つ下の音である「ファ」を弾いてしまったとしましょう。

このとき、ほとんどの子は「あっ!」と思ってすぐさま、「ソ」の音に弾き直します。

実は、これがあまりよい修正方法とはいえないのです。

「え?間違えた音を直したのに、なぜ?」と思われる方も多いでしょうか。

「シ」から「ソ」までの鍵盤の幅は、子どもの小さな手だと案外届きません。

このときの指の運び方を「跳躍」といいます。

子ども達がこの跳躍でなぜ間違えるかというと「しっかり指を広げないとソまで届かない」という意識を持っていないからなのです。

この場合の正解は、「ソ」から直すのではなく、「シ」まで戻って弾き直しをする!です。

本来の原因である「跳躍の幅」の部分練習をするというわけなのです。

「ソ」にするか「シ」にするか――たったこれだけのことなんです。まさに目からウロコ!

 

このことに気づいている子は、「んもぅ!シからソまで遠いから間違えた!」「ココ、いっぱい指を広げんといけんわ」などと言いながら意識して、「シ」から弾き直しをしています。なので、1発で直るか、2~3回も弾き直せばすぐに跳躍を習得してしまいます。

 

ただし、これが出来る子は全体の1割いるかいないか。(私の教室の場合です… ほかにもっと素晴らしいご指導されている教室もあるかも知れません ^^;)

 

子ども達の大半は、このことに気づかず(悪気はないのですが)、単に上辺だけ「ソ」と直すと、安心してすぐに続きを弾いてしまいます。このため、また同じ箇所が出てくるとまた失敗する。その繰り返し。言い換えれば、間違うようにクセをつけているのです。しまいにはイライラしてきて、「もう練習やだ!」となってしまう… 悪循環にはまっているんですね。

 

レッスンでは、こうした部分を本人に気づかせるような導き方を心掛けています。

「間違えることは悪いことじゃないんだよ」

「どうして間違えてしまうんだと思う?」「どうしたら直ると思う?」と、

初心者には詳しく時にはお手本を示し、何年も習っている子にはヒントだけを、それぞれ投げかけます。

 

なぜ?と立ち止まって振り返り、対策を考え、自分で自分を乗り越えることが大切なんですね。

これが、習い事やスポーツをする意義 ―-―醍醐味なんです。

 

また、子どもの手の大きさや柔軟性、集中力のある・なし、ご家庭にある楽器がアコースティックピアノか電子ピアノか、等々、さまざまな個性と環境によって導く手順も異なってきますので、このあたりを注意深く見定めるのが、私たち指導者の役目となります。指導者はとにかく「観察力」が大切。素人では限界があります。このために、私も指導者セミナーや書籍、指導者仲間との情報交換などを通じて、自身の“引き出し” を増やす努力を続けています。

 

なんとな~く音が聞こえているから、練習できているんだろうな~と思われている方、丁寧な練習とはどういうものか、ご参考になると嬉しいです。

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ここでご紹介した内容は、導入期のごくごく基本的な意識の持ち方についてのお話で、

このようなことは「当たり前のこと」として、ずっと高いレベルでレッスンを

受けている生徒さんも大勢いらっしゃいますので、混同されないようお読みください。