ブルグミュラーをお勉強


作曲家 春畑セロリ先生のセミナーへ行ってきました。

題して

「分析力・発想力・表現力を鍛えよう!~ブルグミュラー徹底解剖 」

私、ブルグミュラーが大好きなんです。


春畑先生はいつもほわわんと温かい雰囲気で、「こうじゃなきゃダメ!」というような縛りから解放された楽しい講義をしてくださいます。


今回は数年前に音楽之友社から出た、改訂版のブルグミュラーをテキストに、お話が展開されました。この改訂版は春畑先生が解説を執筆なさっています。


改訂版では、私が子どもの頃に弾き、今もレッスンに使用しているテキストとは違い、フレージング等細かい部分に見直しが入れられています。「えっ、えっ!ここでフレーズ切るの?」「わ、ここはどんな解釈だろう?」

セミナーから帰宅すると、早速本棚を漁る・・・

(上から)音楽之友社/全音出版社/ショパン
(上から)音楽之友社/全音出版社/ショパン

 

生徒さんやお母様の中にはご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、テキストというものは、出版社によっていろいろなタイプがあります。

 

フレージング、ペダルの有無、指番号、解説、譜割り…

楽曲はどれも一緒ですが、編者によって細かいところが微妙に違っているんです。

 

この「ブルグミュラー25の練習曲」も、同じ曲でも解釈が違っています。ブルグミュラー25は、当教室でもメインテキストの1つにしていますので、いろんな出版社から出ているものを集めては試弾して弾き比べをしてみて、解説が詳しく、私なりに「これが一番美しいかな」と思えたものを選んで、生徒さんにお渡ししています。

 

テキスト研究をしていると、作曲家の意図することを分析家がどのように解釈したのかが窺え、まるで二人の対話をのぞき見しているみたいで楽しいんですよo(^-^)o

 

 

「2台のピアノのためのブルグミュラー」伴奏A.バトラー 編著たなかすみこ/シンコー・ミュージック発行
「2台のピアノのためのブルグミュラー」伴奏A.バトラー 編著たなかすみこ/シンコー・ミュージック発行

中にはこんな楽しい楽譜も。連弾用の楽譜です。

こちらのアルフレッド・バトラー版は、伴奏のアレンジが素晴らしく表情豊かで、オーケストラを想起させるようなハーモニー感があります。うまく仕上がった生徒に一緒に弾いてあげると、弾き終わった後の「ステキ~!」とでも言いたそうなキラキラした表情が何ともいえません^^


コードネーム付きの楽譜は、コード奏法が当たり前のエレクトーンの生徒に渡しアレンジの参考にさせることもあります。古典派~ロマン派の移行期にあるこの曲集は、ポップスを弾くことの多いエレクトーンの子にも親和性が高いので、クラシック曲を学ぶ入口に使うこともあるのです。

 

ブルグミュラーの作風を見てみると、ブルグミュラーが子ども達のためにいかに心を砕いて曲づくりを考えていたかがわかります。例えば、一番最初に登場する「素直な心」という曲。右手5番(小指)から始まり、左手は3つの音を一度に鳴らさなくていけないので全音符にして伸ばしっぱなし。強弱記号は「p(ピアノ=弱く)」から始まっています。最初からガンガン鳴らさず、テクニックに走らず、まるで子ども達の小さな手ゆえの負担を和らげようとしているかのようです。このような心くばりが、どの曲にもさり気なく添えられているんです。

ブルグミュラーさんて、きっと優しい人だったんだ!と思っちゃう^^

 

「子どもが負担なく弾けるように」という制限のある中で、それを感じさせない豊かな曲風に仕上げているブルグミュラーの力量やセンスの良さを、春畑先生も絶賛なさっていました。私もブルグミュラーが大好きな理由がここにあります。

楽曲分析って面白いでしょ?理論と感情の双方で曲を捉えられるようになるといいですね♪