お母さんのちょっとした工夫

毎月発行している教室便り『OTODAYORI』。

この紙面に以前連載していたもので、

今も「あれは保存版にしています!」とお母さん達から

高く評価いただいているのが、

「お母さんのちょっとした工夫」と題したコラム。

 

主に、就学前の幼児~小学校低学年の子ども達の

ご家庭へ向けて書いたものです。

 

これは、私が長年ピアノを教えてきて、

「ああ、このお母さんの工夫っていいな」と思い、

我が子にも実践してみてよかったことや、

幼稚園や学校の先生をしている友人、

俗にいう「お受験」のための「お教室」の先生をしている

友人との情報交換の中で知り得た、

優秀な子どものお母さま方に共通して散見できる、

「知る人ぞ知る母の知恵」をご紹介したシリーズです。

 

 

このコラムで反響の大きかった「子どもに持たせる筆記用具のコツ」を1つご紹介します。

上の写真をご覧ください。この筆記用具には、素晴らしい工夫がいくつかあるんです。

わかりますか?


1)筆箱

【開け易さ】

  この筆箱はまず、着脱しやすいマグネット式になっています。

  ファスナー式、缶ペンケースなどは、開ける時に力を入れる部分にコツが必要で、

  小さな子どもにとっては 固くて大変開けづらく、

  ほかの子がすでに鉛筆を取り出して書き始めている時にも、

  まだモタモタしてしまい、焦ったり、

  小さな子は、それだけで悲しい気持ちになったりしやすいのです。

 

【整理されたレイアウト】

  筆箱を開いた時に、筆記具が一目瞭然で、取り出し易くなっています。

  ファスナー式のポーチのような形のペンケースは、

  ポーチの中でごちゃごちゃと筆記具が入り込んでしまっているため、

  お目当ての鉛筆を取るために、中へ手を突っ込んで探さなくてはなりません。

  中には、中身を全部ひっくり返して机に広げ、ずっと探している…なんて子も。

 

  というわけで、肝心の「書く」作業に辿り着くまでにすでに時間がかかってしまい、

  こんなところで、子どもの集中力が削がれてしまうというわけです。


 

2)筆記具

【装飾の少ない鉛筆】

  子どもというのは、ミクロの世界に住んでいます。

  道端にいる小さなアリに気がついたり、埃の中に舞っている小さなチリを見て

  つかもうとしたり。大人なら見過ごしそうな、そんな様子を見たことがありませんか?

 

  同じように、手にした鉛筆に、お気に入りのキャラクターの絵がついていれば、

  子どもはそのキャラクターが気になって、

  鉛筆上の小さな世界に入り込んでしまうのです。

 

  気もそぞろで、先生のお話を聞いてませんでした…ってことが多々あり…(^_^;)

  書いている最中も、すぐに絵に気が散って…ことも(^_^;)

 

  上の写真は、装飾がない上に、色鉛筆ですので、鉛筆のボディ全体に色がついていて、

  何色の鉛筆なのかがこれまた一目瞭然。すぐに取り出せます。

  子どもの視覚の世界にぴったりなのです。

 

【必要最低限の筆記具】

  私が指定した色の色鉛筆と、普通の黒い鉛筆のみをご用意くださいました。

  使わない色、かわいいもの、キラキラしたもの、いい匂いがついているもの、

  使わないんだけど私のお気に入り♪ …なんていうのが入っていると、

  やはりそれらが気になって、注意力や集中力は散漫に…。

 

そのほかに感心したのは、この子の鉛筆が毎回きちんと削られていることです。

聞くと、お母さんにしてもらったのではなく、「自分で削ったよ」とのこと。

お母さんがさりげなく準備してあげておくのも素敵なことですが、

自分で出来る場合は、本人にやらせる方が自覚が芽生えて、

さらにいいことだと思います。

レッスンへ来る前に、親子で落ち着いて準備を整えている様子がうかがえますね。

 


というわけで、「我が子に少しでも楽しくお勉強して欲しい」との思いで、

お気に入りのキャラクターグッズで可愛く揃えてあげたくなる親心もわかるのですが、

まずは “使いやすさ” を大切にした上で、考えていただけたらと思います。

 

教師をしている友人の話では、

「不必要な文房具を、ジャラジャラと学校にまで持ち歩いている子には

 あまりお勉強が出来る子がいない」のだそうで…(汗)

一見、それって偏見!?過激な発言!?とも思いましたが、

遊びの中で、コレクションとして楽しむことを否定しているわけではなく、

勉強する場と、遊びの場とのケジメの問題を言っているんですね。

 

さて、皆さんのお子さんの筆記用具はいかがでしょうか?