おけいこはなんのため

 

子育てについて、具体的で説得力があり、いいこと言ってるなぁと大切に愛読している本があります。

 

『 一~ニ年生の心理・しつけ・勉強 』

品川不二郎、品川孝子、次山信男著 / あすなろ書房

ISBN:9784751500040
(現在、お取り寄せになっているようです)

子育てにおいて、大切にしたい普遍的なことが丁寧に語られています。

この中で、お稽古事について述べているページがあります。

 

 

そのページを執筆なさった東京学芸大学名誉教授の次山信男先生からこのブログへ引用するお許しをいただきましたので、長くなりますがご紹介させてください。

(掲載のお許しを下さいました次山先生とあすなろ書房様に、この場を借りましてお礼申し上げます)  


『一~二年生の心理・しつけ・勉強』P.144より

 

学校では十分に時間をかけられない専門的指導を、子どもの進歩を見ながら、じっくりすすめてくれるという点で、おけいこはそれなりの意味をもっています。技能が身につくというので、子どもの生活を豊かなものにするのに役立つでしょうし、それがすべてのものへの自信の糸口になる場合もあるでしょう。


しかし、そのことにのめりこみ、楽しいと思っておけいこを連続していけるところまでいくには、どのおけいこにしても、途中、苦しい時期を何回ものりこえていかねばなりません。じつは、おけいこに通わせる本質的な意味の一つが、ここにあるように思うのです。


いいかえれば、進歩することは、困難を自力でのりこえることです。そして、その進歩の自覚が、みずからつぎの困難→抵抗→目標をよび、つぎの進歩へとつなげるのです。「おけいこ」をつづけるということは、こうした営みなのです。ここでは、子どもにも親にも、ねばり強く、自分に耐える心と力が要求されます。


ですから、少々通わせて、すぐ効果が出なかったからといって、また、子どもが行きたがらなくなったからといって、おけいこをつぎつぎと変えていく親子をよく見かけるのですが、これは、おけいこにある、この本質に気づいていないからでしょう。

 

P.145より

つぎに、一人ひとりの子どもにとって、適切な抵抗 ―――目標を用意し、それに見合った指導をしてくださるのが、おけいこの先生です。ここにも、おけいこに通わせる本質的な意味があるように思います。子どもたちは、こうした先生の、高い専門性と一人ひとりを大切にする人がらに魅力を感じ、みずからそれに向かって耐えようと努力するのです。このことが、子どもたちにおけいこをつづけさせる大きなエネルギーになっているといっても過言ではありません。 (引用終わり)


こちらの本、お稽古事のことだけでなく、子どもの生活面や学習面、親としての心得など、本当にいいことが書かれてあるので、もし手に入るようでしたら、ぜひご覧になってみてくださいね。